岐阜市歴史博物館で開催中の企画展「お江戸ブックワールドー岐阜で花開いた出版文化」を見てきました。
ポップなイメージのポスターですが、オーソドドックスな古書の展示でした。
多くの本が出版された江戸時代。
江戸時代は265年も続きました。
そのうちほとんどの期間は鎖国。
出版に限らず日本独自の文化が成熟していきました。
江戸時代は現代のような印刷機はありません。
手作業で版を掘り、刷り、紙を二つ折りにし、紙を切り、紐で綴じる。
気の遠くなるような作業工程。
出来上がった本も町年寄、町奉行の許可がないと販売できませんでした。
岐阜に関連する本も多数出版。
松尾芭蕉の弟子・各務支考が句集を出版。
四国八十八所巡りを模した「美濃八十八ヶ所太師順拝記」が1864年(文久4年)に出版されたり。
本の挿絵に鵜飼を描かれた本が多かったです。
周りに人工物がなく現代より風流がありました。
武田信玄の家臣・高坂昌信が記したという「甲陽軍鑑」が展示されてました。
甲州武士の事績や心構えを記した兵書。
全20冊あります。
その第11巻に、1568年(永禄11年)に武田信玄の使者が岐阜を訪れた時の記述があります。
織田信長は能や鵜飼を催し使者を接待。
お土産の鮎を信長自ら選んでいたという。
1568年というと、信長が稲葉山城を攻略して2年後。
客人を鵜飼でもてなすことはあったことでしょう。
武田の使者をもてなしていたことに驚きました。
博物館の2階には「長篠合戦図屏風」の複製が展示されています。
合戦があったのは、1575年(天正3年)
武田勝頼の騎馬隊と戦っています。
武田のことが大嫌いだったはず。
調べてみると、岐阜城にいた頃の信長は武田信玄と戦略的に友好関係を築こうとしてました。
信玄の息子・勝頼の正室は信長の養女・龍勝院。
信長の長男・信忠の婚約者は信玄の娘・松姫。
松姫はこの時まだ7歳。
信忠と松姫は文通し思いを深めていたそうです。
1572年(元亀3年)信玄は遠江国三方ヶ原へ侵攻開始。
武田家と織田家は敵対関係になり、信忠と松姫の婚約も破棄。
そんな状況でも信忠は松姫へ猛アピール。
松姫は輿入れするために信忠がいる本能寺へと向かいます…
信忠と松姫の話だけで映画やドラマが作れそう。
織田家と武田家の関係を知る良いきっかけになりました。
企画展の開催は7月27日(日)まで。
本が好きな方、歴史が好きな方におすすめ。
お江戸ブックワールドー岐阜で花開いた出版文化ー
【開催期間】6月7日(土)から7月27日(日)
【開館時間】午前9時から午後5時(入館は午後4時30分まで)
【観覧料】高校生以上 310円 小中学生 150円
【休館日】月曜