年末に西濃運輸で実施される「車両格納」
仕事納めしたトラックは洗浄、検査を受けた後に綺麗に整列します。
昨年、ネット上で写真を見て驚きました。
今回、いくつかの営業所のトラックを見てきました。
寸分違わずピシッと整列。
その姿に惚れ惚れしました。
見たい方は年末になったら、大きめの営業所に行けば見られます。
経済界から出版されているポケット社史「西濃運輸 信頼で世界を結ぶ総合物流商社」を読んでみました。
西濃運輸の創業者は田口利八(1907-1982)
長野県木曽町で生まれた田口利八は、1930年(昭和5年)に岐阜県益田郡萩原(現・下呂市)で「田口自動車」を創業。
フォード社製の中古トラック1台、従業員は妻と二人。
当時は国鉄高山線の敷設工事やダム工事もあり事業は順調に推移。
トラックが4台になった1933年(昭和8年)に現在の本社がある大垣市に拠点を移します。
なぜ大垣を選んだのか。
「水資源が豊富なら、これからどんどん工場ができていくだろう。そうすれば、原材料を搬入し、製品を運び出すトラックが、必ず必要になってくる。
しかも、大阪・名古屋間の国道沿いで、東海道線にも接している。地図を見れば、ちょうど日本の中心で、西に下るにも東に上るにも絶好の立地だ」
戦前から大垣の立地条件の良さを見抜いていた創業者。
その後、事業は全国に、そして世界に展開し、現在は従業員1万2000人を超える企業へと成長しました。
トラックの車両格納については書かれていませんでした。
“礼節”を重んじた創業者。
本の中に以下の言葉がありました。
「礼節があってはじめて秩序が保たれる。秩序が保たれて能率が上がる。能率が上がれば、会社の繁栄につながる。会社が繁栄すれば従業員が幸せになるんだ。お客さん商売だから、お客さんに好感をもたれなければならない。だから、そんなボロをまとってもいい。しかし、礼節だけはピシッとしろ。つまり、すべてのもとは礼節だ」
礼節は西濃運輸の伝統であり文化。
その年の業務を終えたら、トラックをピカピカにしてピシッと整列するのはごくごく自然の行為かもしれません。