愛知県春日井市にある「愛岐トンネル群」
日本3大廃線トンネル群のひとつ。
元々は国鉄中央本線(現JR)が走っていた廃線跡。
国の登録有形文化財で、現在の所有者はNPO法人愛岐トンネル群保存再生委員会。
毎年、ゴールデンウィークの時期と秋に特別公開されます。
2024年の秋の特別公開は、11月23日(土祝)から12月1日(日)までの9日間。
今回は特別公開で注目して欲しいポイントをいくつか紹介していきます。
特別公開へ行かれる際はJR定光寺駅へ。
普段は普通列車が1時間に数本停まる程度。
特別公開の時期はもっと多くの列車が停車します。
周辺に駐車場はありません。
現在はひっそりとした定光寺駅ですが、かつては“名古屋の奥座敷”として賑わってました。
駅の近くにある旅館跡も当時は多くの宿泊客がいたのでは。
一般公開で見学できるのは3号トンネルから6号トンネルまでの4つのトンネル。
片道1.7km。
ちょうどいい距離の“廃キング”
往復2時間くらいが目安。
まずは3号トンネル。
2006年(平成18年)にひどい薮の中から最初に発見されたトンネル。
そこから保存会による地道な整備活動。
最初に一般公開が始まった2008年の来場者数は1000人ぐらい。
今では年間3〜4万人が訪れる人気ぶり。
特に紅葉シーズンの秋公開は駅前が長蛇の列になるかも。
素敵な赤レンガのトンネル。
まずはここで記念撮影したくなります。
今回の記事の写真は10月12日に開催されたNHK文化センター名古屋教室の講座で見学した際に撮影しました。
この地点が受付場所になるので、特別公開の時は人がいっぱいかと。
トンネルのアーチの部分が5層。
堅牢でエレガントな設計。
トンネルの内部は暗いです。
特別公開の時はライトアップされます。
3号トンネルを抜けると落石防護柵。
こちらの柵は古いレールを再利用して作られています。
当時も鉄は貴重な資源でした。
刻印が残っているレールも。
このレールは1903年(明治36年)ドイツのケルップ社が製造。
廃線の残存物も展示されてます。
通信線用のビン碍子など。
見る人が見ればおっ!となるマニアックな残存物。
まるで博物館。
竹林エリアに架かる橋。
ここは写真映えするポイント。
4号トンネル。
4号トンネルを抜けると「三四五の大モミジ」
愛知県最大級の巨木。
10月はまだ緑色でした。
秋の特別公開の時期は絶景紅葉スポットになっていることでしょう。
このポイントでは、SL・C57の動く動輪も展示。
レンガ広場ではコンサートも開催されます。
お弁当なども販売されるので小休止におすすめのポイント。
愛岐トンネル群には暗渠もあります。
笠石洞暗渠。
レンガ作りの暗渠は珍しい。
上から覗くとこんな感じ。
特別公開の時は玉野古道から暗渠の中へ入れるかも。
5号トンネルで今年大注目なのがレールマウンテン。
鉄道マニアの方はこの黄色い円形のものが何か分かることでしょう。
転車台です。
神岡のガッタンゴーのようなイメージで廃線をサイクリングできるようにする構想。
現在は実験線の28メートル。
電動自転車が2台合体。
中部大学、県立春日井工科高校、名古屋市立工芸高校と共同で研究会を設立。
3年に渡り研究を続けてきたそうです。
実験走行も順調。
最大で5人乗れるそうです。
特別公開の時は親子で廃線サイクリングを楽しめるかも。
最後に6号トンネル。
3号トンネルでは5層だったアーチ部分が、6号トンネルでは7層に。
6号トンネルで注目すべきはインバート。
写真だと分かりづらいですが。
トンネルの底面も逆アーチ状のレンガで覆われています。
この場所は地質が良くないので、トンネルの耐久力を強化するための工夫。
インバートを間近で見られるのは、日本で、否、世界でここだけかも。
7号トンネルをつなぐためのレールも準備されてました。
保存委員会の皆さまは本気です。
この日もトンネル群の整備活動に励まれてました。
6号トンネルの多治見側は左右対称で重厚感があります。
公開されているのはここまで。
向こう側にレンガの橋脚は見えます。
6号トンネルの続きの7号トンネルは現在、名古屋市所有のゴミ処分場。
河村たかし前名古屋市長が2012年に視察に訪れています。
次の市長に期待。
8号トンネルは多治見市所有。
名古屋市と多治見市が本気を出してくれれば、JR古虎渓駅までつなげることができます。
いつの日か古虎渓駅までサイクリングできるといいですね。
愛岐トンネル群はCBCの「道との遭遇」でも紹介されました。
ダイジェスト版映像。
暗渠の内部にも潜入。
公開前に予習がてら見ておきましょう。