岐阜市の長良川左岸。
金華橋から忠節橋にかけて約1.5kmの区間には「岐阜特殊堤」があります。
1月15日に長良川うかいミュージアムで開催された市民講座でも紹介されました。
味わい深い階段。
右から読む渋い銘板。
昭和13年3月竣工。
一見すると普通の柵のよう。
上から見ると切れ込みがあって、何かをはめ込む形状になっています。
こちらは近隣住民が畳を持ち寄ってはめ込み、川からの越流を防ぐ「畳堤」
畳堤は全国に3箇所しかない「特殊堤」
- 岐阜市長良川
- 兵庫県龍野市揖保川
- 宮崎県延岡市五ヶ瀬川
兵庫県龍野市の揖保川では、2018年の西日本豪雨の際には実際に畳を装着。
畳が濡れる寸前まで水位が上昇したそうです。
「一般社団法人九州地方計画協会」のホームページより。
宮崎県延岡市の五ヶ瀬川は国内最古の畳堤。
土木学会選奨土木遺産に認定。
岐阜市の長良川では、水位上昇時に畳を装着した記録が見つかりませんでした。
昔は畳をはめ込んでいたと思いますが。
2019年(平成31年)2月に、豊田工業高等専門学校の生徒5人が、畳堤をPRするためのイベントを企画。
岐阜市西野町の西本願寺岐阜別院からリアカーに畳を積んで運び、畳をはめ込んでいきました。
豊田高専は国立高等専門学校が主催するアイデアコンテスト「地域防災力向上チャレンジ」で「畳入れ選手権」を提案し「高専機構賞」を受賞。
地元民もほとんど知らない畳堤に注目し、実際に畳を運んではめ込んでいく行動が素晴らしい。
現代は畳のある部屋も少なくなってきましたが、昭和初期は畳が主流。
どの家にもある畳を使って水害を防ぐ先人の知恵。
長年、水害と戦ってきただけのことはあります。
5年に1回くらいでもいいので、先人の知恵を継承し、水防意識を高めるために特殊堤に実際に畳をはさみ込んでみるのも良いかも。
その時は参加したい。
平成30年度の木曽三川連合総合水防演習の時の写真。
畳つながりで伝統的な水防工法の中に「畳張り工」があります。
漏水した箇所に畳を張って防ぎます。
他にもシート張り工、竹流し工など身近にあるものを用いて水害を防ぐ工法があります。