『岐阜の昭和30年代を歩く』井口貢・安元彦心編著

 

風煤社から出版された「岐阜の昭和30年代を歩く」を読みました。

井口貢さんと安元彦心さんが編著。

著者は大学・高校の先生、博物館の学芸員など総勢26人。

昔の懐かしい写真と共に、昭和30年代の岐阜が紹介されてます。

昭和30年代は自分が生まれる前。

両親が若かった頃の風景を追体験できました。

 

喜劇王チャールズ・チャプリンは長良川鵜飼を2回観覧しました。

1回目は1936年(昭和11年)で2回目は1961年(昭和36年)

1回目の観覧時は船上で天ぷらを食べながら「ワンダフル」を連発する感動ぶり。

しかし2回目の観覧時は失望。

その時の様子を本著から引用すると、

 

「昔の鵜飼はそのまま一遍の詩だった」「ところが今の鵜飼はチープ・スタントだ」

 

1回目と2回目の鵜飼の何が変わったのか。

チャプリンが見に来たという美談しか知らなかった自分は、生々しいチャプリンの感想が興味深かったです。

単に昔の岐阜を振り返るだけではない踏み込んだ紹介。

興味のある方は読んでもらいたい。

 

大垣市の「金生山」も紹介されてました。

名前の由来がそのまま俗的で面白い。

1955年頃の金生山の写真が掲載されていたのですが、当時はまだ“ピラミッド”ではありません。

現在ピラミッドの頂上の形が変わりつつあります。

本を読んで金生山の歴史を振り返っておくと、より深い鑑賞になることでしょう。

 

全国で最初に自主制作番組を制作したケーブルテレビ「郡上八幡テレビ」の話や、八百津町の古い方の旅足橋が世界でも3基しかない希少な構造であるという話が面白かったです。

 

「岐阜の昭和30年代を歩く」は岐阜に長く住んでいる方、岐阜の歴史に興味がある方、レトロ好きな方におすすめ。